「体重が減ったのに体脂肪が減らないのはなぜ?」
体脂肪率測定の重要性を専門家が解説!
By 渡部 広介 公開日:2025-10-19
ダイエット初期段階に体重が減るメカニズム
体重や体脂肪を減らそうと一念発起してダイエットを始める方の多くは「摂取カロリーの制限」から着手します。
体重の増加は「摂取カロリー > 消費カロリー」によって起こるため、摂取カロリーを適切に制限することはダイエットにとても有効です。
摂取カロリー とは?
食べ物や飲み物から体に取り込まれるエネルギー
主に…
[ 糖質 ]
血液中のブドウ糖(血糖)となり、エネルギー源として活用される。
[ 脂質 ]
エネルギー源となる他、細胞膜やホルモンなどの材料として使われる。
[ たんぱく質 ]
筋肉や骨、皮膚、血液、ホルモン、抗体などの材料として使われる。
から摂取します。
消費カロリーとは?
体が生命活動や運動によって消費するエネルギー
内訳は…
[ 基礎代謝 ]
呼吸や体温維持など、生命維持に必要な最低限のエネルギー消費。一日に消費するカロリーの約60%を占める。
[ 運動誘発性熱産生 ]
運動によるエネルギー消費。一日に消費するカロリーの約25%を占める。
[ 食事誘発性熱産生 ]
食事を消化する際のエネルギー消費。一日に消費するカロリーの約15%を占める。
となります。
消費カロリーを維持しながら摂取カロリーを減らせば徐々に体重は減るでしょうが、同じ割合で体脂肪率(体重に占める体脂肪の割合)が減るかというとそうではありません。
摂取カロリーを制限すると食べ物に含まれる水分の摂取量も減ることになります。
水分摂取量が減ると体重が減りますが、これは体内の脂肪が減るわけではありませんので体重が減った分、体脂肪率が減るわけではないということです。
摂取カロリーを制限してすぐに体重が減ったとしても、「体脂肪が減った」とは思わずにカロリーコントロールを続けてみましょう。
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体脂肪率の性別標準値を知ろう
体脂肪の増減を適正に評価するためには「体脂肪率測定」が必須です。家庭用に普及している測定器でも体脂肪率を測定することはできますが、医療機関やスポーツクラブなどに設置してある業務用測定器であればより精度の高い測定が可能です。
▪ 女性の体脂肪率(15歳以上)
一般的に、女性の体脂肪率の平均値(標準値)は20%以上30%未満です。
女性は男性よりも体脂肪がつきやすく、体脂肪率の基準が全体的に高めの傾向があります。なお、体脂肪率が10%未満といったやせすぎの場合にも免疫力の低下やホルモンバランスの乱れなどの健康リスクがある点に注意が必要です。
| 判定 | 体脂肪率 | 傾向 |
| やせ | 20%未満 | 標準より低め 引き締まった体型 |
| 標準 | 20%以上30%未満 | 標準的な体型 |
| 軽肥満 | 30%以上35%未満 | 標準より少し高めでややふくよか |
| 肥満 | 35%以上 | 標準より高め 健康面に注意が必要 |
▪ 男性の体脂肪率
一般的に、男性の体脂肪率の平均値(標準値)は10%以上20%未満です。
男性は女性と比べると体脂肪がつきにくく、体脂肪率の平均値は低めの傾向があります。ただし男性は見た目ではわかりにくい内臓脂肪が増えやすいため、体脂肪率の数値を定期的にチェックすると良いでしょう。
| 判定 | 体脂肪率 | 傾向 |
| やせ | 10%未満 | 標準より低め 引き締まった体型 |
| 標準 | 10%以上20%未満 | 標準的な体型 |
| 軽肥満 | 20%以上25%未満 | 標準より少し高めでややふくよか |
| 肥満 | 25%以上 | 標準より高め 健康面に注意が必要 |

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カロリーオーバーによる体重増加は「適度な運動」で対策
「摂取カロリー > 消費カロリー」による体重と体脂肪の増加を防ぐためには、摂取カロリーの制限に加えて適度な運動が効果的です。
筋力トレーニングで「基礎代謝」を上げ、有酸素運動で「運動誘発性熱産生」を増やすことができれば過度な食事制限でストレスがたまることを防げるでしょう。
脂肪1gは9kcalです。これを1kgに換算すると、体から脂肪1kgをなくすためには9,000kcalを消費する必要があることになりますが、実はそうではありません。
脂肪は脂肪細胞として体内に蓄えられていますが、脂肪細胞は脂肪滴と呼ばれる脂肪のかたまり以外に細胞形成に必要な他の物質も20%程度含まれているといわれています。
よって、脂肪1kgをなくすためには9,000kcalではなく80%の7,200kcalを消費すればいいということになります。
仮に脂肪1kg、7,200kcalを1ヶ月(30日)で減らそうとすると1日にマイナス240kcalが目標となります。
240kcal消費する運動(体重50kgの場合)
ウォーキング:約90分
ランニング:約35分
縄跳び:約25分
水泳:約30分
自転車:約35分
運動が楽しくても毎日継続することは大変でしょうから、「運動しない日は摂取カロリーを240kcal減らす」などして無理なく継続できる方法を身につけていきましょう。
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渡部 広介(Kosuke Watabe)
株式会社フィットネスマーケティング 代表取締役社長兼CEO
[出身地]New Zealand(Wellington)
[国 籍]Japan
ランニング×トレーニングのオリジナルメソッド(特許取得済)を取り入れたグループランニング&ファンランイベントを全国で展開中。NIKEオフィシャルクラブパートナージム経営者。

